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2007.05.16

公共工事が止まる

今日、というか先ほどNHKの「クローズアップ現代」で放送された特集が、「入札異変! 公共工事が止まる」というものでした。
メモをちゃんと取らなかったので、数値など正確ではないかもしれませんが、こんな内容です。下記引用部は「クローズアップ現代」ホームページより。

5月16日(水)放送 入札成立せず 〜“脱”談合の波紋〜

今、全国の自治体で、公共工事の入札に建設業者が集まらない異常な事態が起きている。小学校の耐震化や橋梁の補強など、一刻も早く必要な工事の入札に業者が応募せず、工期に大きな遅れが出ている。名古屋市ではこうした"入札・不成立"が3年前まで年間数件だったが、昨年度は339件に上った。背景には、脱談合の流れの中、工事を割り振る調整役がいなくなった現実がある。かつては利幅の多い「おいしい仕事」と、「おいしくない仕事」を"抱き合わせ"で落札するのが暗黙の了解だったが、調整役がいなくなった今、利幅の薄い仕事には誰も手を出さなくなった。一方、行政にも問題がある。長い間、業者間の調整の上にあぐらをかいてきた結果、理にかなった「見積もり」をする能力が低下しているという。脱談合を契機に噴出した"入札不成立"の背景に迫る。
(NO.2410)

上記の不成立となっている物件、つまり「おいしくない仕事」には共通性がある。
短工期の改修工事・修繕工事がそれにあたり、工期の長い新築工事は「おいしい仕事」となる。
もっと簡単に言うと、金額の大きいものが「おいしい工事」だ。
前半、談合が必要悪で肯定的な内容にも聞こえるが、事態はもし仮に談合を暗黙に了解したところで解決しそうにない問題を孕んでいるように思えた。
スタジオゲストの慶応義塾大学米田雅子教授によると、政府の政策変更によって、公共工事が4割減となったのに対し、ゼネコンは2割程度しか減っておらず、供給過多となっている。
そこで、各社受注を巡ってダンピングが行なわれる。すると、予定価格よりも大幅に低い価格で落札される。落札価格が事例となり、翌年はその価格に基づいて予定価格が設定される。というデフレスパイラルが起こっている。
更に、東京・名古屋・横浜では好景気により人件費が高騰しており、より利益を圧迫というか赤字工事となってしまっている。

さて、おさらいすると、公共工事は入札によって施工業者を選定するのだが、その仕組みは次の通り。
まず、工事発注者が工事予算の上限を算出する。それを「予定価格」と言う。入札に参加する施工業者は、その予定価格よりも低い金額を提示し、一番安い金額を提示した会社が受注する。
談合とは、間違いを恐れずに建設会社の立場で説明するならば、談合なく入札が行なわれると、ある建設会社が赤字で入札し受注することにより翌年以降の工事金額が下がってしまい、業界全体の危機を招きかねないことを恐れて、いわゆる順番に工事を受注できるようにしていた「仕組み」である。
その仕組みによって、うまみ(利幅)の少ない改修工事も行なわれ、官民がうまく回っていた、というものらしい。

今回話題となっているのは、その「予定価格」のままでも赤字工事となるために建設会社が入札に参加できないということが問題となっているという話題で、建設業界のデフレスパイラルも要因のひとつであるが、そもそも「予定価格」が正当な評価による金額なのかということにも焦点が当てられた。
役所側は相変わらず世間知らずのようで、予定価格は正当だ、と言い張るが、業界側は、一年に一度しか改訂されない「単価」そのものが実勢に合わない批判はある。確かに、人件費と昨今の金属単価の高騰は年一度の改訂では全く実勢に合ってこない。

さて、じゃあどうすればいいのか。この問題をすぐに解決する打出の小槌はなさそうだ。

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コメント

全く素人の意見ですが、記事を読んで以下のようなことを感じました。
ひとつには、予定価格を算出する役所の側で、正当な積算がなされるようにすること、役所側で積算をする技師(一応専門家だと思いますが)の質を向上させることが必要に思われます。
もうひとつ、入札制度自体、正しく運営されたときには、入札価格のみで業者が決定されることになります。個人が住宅を建設する際のいわゆる「合見積り」でさえ、価格だけでは決定されません。大切な公共工事の請負業者が、価格のみで決定されることには納税者としては若干の疑問を感じます。
NHKの番組は見ていませんが、昨今の報道を見ていると、入札制度や談合の是非ということだけにスポットが当てられている気がします。それより「業者決定する過程の透明性の確保」が大切であると思うのですが。「透明性」(過程の公開)が無ければ、どんな制度も「腐敗」と無縁ではあり得ないと思います。「透明性」の確保にもっと目を向けるべきではないでしょうか。

以上、素人からの一意見でした。

投稿: greenings | 2007.05.17 17:04

greeningsさん
はじめまして。コメントありがとうございます。
業者決定する過程の透明性の確保というご意見ですが、入札であれば、透明性は十分確保されていると思います。ネットで閲覧可能となっている役所もあります。なので、現状以上の透明性までは必要ないのではないかというのがぼくとしての意見です。
実際の入札の現場に立ち会ったことはありませんが、指名された業者あるいは応募者が入札金額を書いた紙を出して、その場で役所側が提出された金額から一番安い業者を決めるというだけのもので、至ってシンプルな過程だと聞いたことがあります。
なので、その金額の根拠まで業者は提示する必要がないようです。
ただ、一旦決定した後で、役所側が工事内容を変更する場合、その変更金額については落札業者が決定できたような気もします。
また、品質についてですが、国土交通省が発行している「共通仕様書」を元にしたかなり厳しいチェックが入り、民間に比べて膨大な資料も提出することになっています。
本当に図面通り施工されているか、また、それを正しく判断できる専門知識を持った技術者が役所側にいるのかということになると、それは正直よくわかりません。
そういう意味で、記事には書きませんでしたが、民間のCM(コンストラクティング・マネージメント)に間に入ってもらって、実際の調整をしてもらうという方策は今後増えてくるような気もしております。
ただ、その機能が本当に正しく機能しているのかどうかという役所内部の視線も必要であると思われますので、役所側が内部で信頼できる技術者を育てることは必要であると思います。

投稿: pinkopaque | 2007.05.17 17:57

ちょっと自分の意見が舌足らずだったようです。だいたい、NHKの番組を見ずにコメントしたのも軽率でしたが・・・

さて、何が言いたかったかというと、昨今の報道に見られる「談合」=悪、「競争入札」=正義というような、単純な二元論には疑問を感じる、ということです。(別に談合を推奨するわけではありませんが。)で、それよりも「過程の透明性」に焦点を当て、「透明性」にキーワードに据えて現行の入札制度のみにとらわれない方策を考えるのもアリではないかと。まぁ、総合評価落札制度なんていうのも、入札による弊害を補うために出てきたんでしょうけどね。

さらに言えば、何故談合が悪いのかという本質が置き去りにされ、ただ「談合=悪」だけを強調する昨今のメディアの論調にも疑問を感じます。

先にも書きましたが、私は、競争入札による「落札価格のみ」で受注者を決定する仕組みには疑問を感じます。まぁ、市場万能主義に対する疑問、といった方が良いのかも知れません。

もう一つ言いたかったのは、私の知る限り、落札予定価格は役所の技師によって積算されてると思いますが、役所の技師達が業者に赤字を強いるような積算しかできないなら、それは役所側に問題があるということを言いたかったのでした。(なかには業者に積算させる杜撰なケースもあるようですが・・・)

ま、一市民としては、官庁・業界双方に対して良心を忘れないで欲しいと願うのみです。

相変わらず何が言いたいのかよくわからん文になってしまいましたが、談合と入札制度の問題に関してはちょっと思うところがありましたので、思わずコメントしてしまいました。素人の戯れ言ということでご容赦を。

投稿: greenings | 2007.05.17 20:47

コメントありがとうございます。
おっしゃろうとしている意図はわかったように思います。ありがとうございます。
現実的にどういう方策を講じるのがいいのか、となると、なかなかむつかしい問題ですね。
民間にできることは民間に、という小泉内閣のスローガンからすれば、役所内部で技術者を育てるというのは、そういう政策に反してしまう気もするので、現実的にそういう方向に進むのかというとむつかしい気もします。
土木工事はメインテナンスを定期的に行なって貰わないと困るんですが、新築に関してはもっと慎重になって欲しいとも思います。
公共建築はスクラップ・アンド・ビルドを考え直して、社会の財産になる建築を造り、社会情勢やプログラムの変化に対応できる持続可能な視点が必要になってきていると思います。
そうなってくると、単に工事価格のみで決定するのではなく、ノウハウを提供してくれる業者に対して、対等な立場で双方向的に物事を進められる環境(あるいは法整備)がより強化され、加えて実現できるようになって欲しいとも思います。
甘い事業収支で粗大ゴミとなる公共建築はもう要りませんからね。
話が逸れてしまったかもしれませんが、ご容赦ください。
やっぱり簡単にはいかない複雑な業界であるということは理解できてきた気がします。

投稿: pinkopaque | 2007.05.17 22:59

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